テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2020年12月号

ネットワーク協定という厄介な代物〜山本英治氏寄稿〜

2020年12月04日 11:47 by sakaiosamu
2020年12月04日 11:47 by sakaiosamu

Introduction
山本英治氏から久しぶりに寄稿していただいた。11月号の記事で「鬼滅の刃」がローカル20局での一挙放送から火がついたことを取り上げたところ、読者コミュニティで感想を書いていらした。ネットワーク協定による制約があり、そこがいま課題だとの指摘だった。そこで、それについての寄稿をお願いしたのだ。デリケートな話題で、どうやらここには書けない事例も多々あるようなのだが、書ける範囲でぜひにとお願いした。協定の課題洗い出しのタイミングかもしれないと思うので、みなさんお読みいただきたい。これを読んでのご意見も、読者コミュニティに書き込んでもらえればと思う。

 

 

書き手:毎日放送・山本英治

テレビ局の新しい事業展開を考えるときに、まず手を付けなければならないのは、法整備よりもむしろ各系列に設定されているネットワーク関連の諸協定の見直しである──と私は考えています。

私も番組配信の権利クリアの仕事に携わっているので、もちろん法整備の重要性はよく解っていますし、早く新しい法律を作って作業を楽にしてほしいと希ってもいます。でも、根本的な問題はそこにはないように思うのです。

強固に作られて、今まで系列の利益と利便性をしっかりと担保してきた諸協定が、今や不要な足かせとなっているのではないかと思います。

最初に断わっておきますが、この文章は「キー局は横暴である」と言いたいのではありません。私の勤務する MBS と TBS の関係がうまく行っていないというような話でもありません(笑)

詳しくは書きませんが、私が入社した頃の昔と比べると、局間の関係はすこぶる良くなっていると思います。ただ、大昔から踏襲している諸協定、及び明文化されていないもろもろのルールや商慣習が、今の時代にはそぐわなくなってしまったという主旨です。

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