テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2017年03月号

テレビがネットにたじろぐ時代は、もう終わった〜NHK「放送記念日特集・今テレビはどうみられているか」より〜

2017年03月23日 16:56 by sakaiosamu
2017年03月23日 16:56 by sakaiosamu

3月22日夜、NHKで「放送記念日特集・今テレビはどう見られているか」が放送された。毎年この日に放送されてきた放送記念日の特番だが、今年の企画は非常に刺激的だった。

NHK「真田丸」プロデューサー・屋敷陽太郎氏、TBS「逃げるは恥だが役に立つ」プロデューサー那須田淳氏、C CHANNEL社長・森川亮氏が出演。博報堂DYメディアパートナーズ・メディア環境研究所所長、吉川昌孝氏が解説役となり、ゲストに春香クリスティーン氏を迎えて小野文恵アナウンサーの司会で番組が進行した。

「真田丸」のプロデューサーに加え、民放であるTBS「逃げ恥」のプロデューサーも出演したのは画期的だ。昨年ネットでも話題になってヒットした2つのドラマの制作者を呼んだのは、そこにテレビの新しい視聴スタイルがあるからだ。

とくに「逃げ恥」大ヒットのメカニズムを克明に分析したパートは、NHKが民放のドラマを分析する面白さを含めて興味深いものだった。

その概要はYahoo!に書いたのでこちらをお読みいただければと思う。

NHKが解明したTBS「逃げ恥」ヒットのメカニズム

MediaBorderとしてここで書きたいのは、Yahoo!に書いたことよりさらに、大きな視点での感想だ。それは、テレビとネットの微妙な関係がついに、ここまでたどり着いたのだなあという感慨だ。

私がとくに驚いたのは、NHK屋敷氏がふっと口にしたこの一言だった。

「テレビはスマホで遊ぶ道具になってるんだなと・・・」

ええー?!テレビ制作者がそこまで言うの?一瞬そう感じてしまった。でもそれは番組の流れからすると、ツイッターの”石田三成”アカウントがBSと地上波で二回「真田丸」を視聴し、BSで確認した内容から地上波放送時に”つっこみどころ”でつぶやく様子を紹介したあとだからこその言い方なのだろう。何しろ二回も見ているのだ。そこまでしてツイッターでつぶやくのは、その分「真田丸」を愛してくれているからであり、二回分楽しんでくれているのだ。それに対しての「スマホで遊ぶ道具」としてのテレビを自分が作っている喜びがこの一言なのだと思う。

その屋敷氏の一言に私は、大きな感慨を持った。テレビはもはや、ネットに戸惑う時代を通り越したのだなあと・・・。(ここから先は登録読者のみ) 

この続きは1ヶ月無料のお試し購読すると
読むことができます。

関連記事

悪いネットメディアといいネットメディアの区別がよくわからなくなってきた

2024年04月号

NHKの受信料運営はもはや時間の問題で行き詰まる

2024年04月号

NHKも新聞も、自分で自分の首を絞めている

2024年04月号

読者コメント

コメントはまだありません。記者に感想や質問を送ってみましょう。

バックナンバー(もっと見る)