ツイッター数値は番組価値との関係性を見出せないでいた 

2011年12月、日本テレビ・金曜ロードショーでの「天空の城ラピュタ」で起こった”バルス祭り”以来、テレビ視聴とソーシャルメディアの関連は様々に分析されてきた。そこには、ネットの盛り上がりが視聴率に結びつくのでは、とのテレビ局側の期待がまずあったのだが、2012年から翌年にかけてネット連動の仕掛けが散々行われたのち、”ツイッターは視聴率に結びつかない”との結論が出たように思う。

”ソーシャルテレビ”という言葉が出てきて、筆者は勉強会「ソーシャルテレビ推進会議」をはじめた。それは今もしぼむことなくむしろおかげさまで盛り上がっているが、当の”ソーシャルテレビ”という概念は人びとの注目から外れてしまった。勉強会でも時折、ソーシャルメディアとテレビ視聴の関係を見出す研究発表が行われてきたが、明確な法則は見出せていない。

一方でテレビとネットの連携により世の中が動く現象は2015年あたりから出てきて、2016年になると日々の話題がテレビとネットの相乗効果で増幅するようになった。5〜6年前に盛り上がって一度しぼんだ”ソーシャルテレビ”は、いつの間にか当たり前のことになった。

一つには、スマートフォンが7割程度普及し、それに伴ってソーシャルメディアが若者だけでなく多くの人びとの日常に入り込んだことがある。ツイッターの話題はテレビが提供しているのだ、とテレビ優位論としていう人がこれまで多かったしそれは今も変わらないが、逆にネットでの話題をテレビが取り上げることが同じくらい出てきた。どちらが上か、という議論にはもはや意味はなく、互いに影響し合う構図が明確に出てきているのだ。

だが相変わらず、ツイッターで番組が盛り上がることの価値は見出せないままだった。「逃げ恥」のようにネットでの盛り上がりが視聴率を押し上げたらしい例は出てきたものの、ツイッターが必ず視聴率を上げるとは言えない状況だ。またツイッターの数値が、視聴率とは別の何らかの指標になるのではないか、との期待もひところ寄せられたが、具体的なことが見出せないままだった。ツイッターの盛り上がりは、番組への熱の表れではあっても、そこで流れるテレビCMは関係なかったからだ。むしろ、ツイッターが盛り上がるほど番組に熱中していることになり、CMへの関心は弱まるのではないかとの見方もあった。

3/17のイベント「TV meets Data」でツイッターとCMの関係性が見えてくる?

私が顧問研究員としてお手伝いしているエム・データ社は、テレビ番組のメタデータを作成する会社だ。最近、角川アスキー総研とも提携して共同でデータ分析に取り組んでいる。同総研のリサーチ部門は私が敬愛する遠藤諭氏がリーダーシップをとっており、特にエンタメとメディアについて様々に研究してきた。一方、吉川栄治氏はとくにエンタメとツイッターの関係について分析しており、私もグラフなどをお借りして記事に使わせていただいている。

この2社が共催する3月17日のイベント「TV meets Data」は、その取り組みの成果をみなさんに披露する催しだ。

申し込みページは画像をクリック

全体の内容については、遠藤氏が書いたこの記事を読んでもらえればと思う。

→3/17開催「TV meets Data」この番組を見たらこのブランドが好きになった!

第一部は遠藤氏が司会し、スクエア・エニックスの三宅陽一郎氏、ドワンゴの小田桐優理氏をお招きしてのAI(人工知能)のテレビでの可能性に関するトーク。私のような文系人間に理解できるか心配だが、遠藤氏がわかりやすくガイドしてくださることだろう。

そして第二部は、私が進行役となり、先述の角川アスキー総研・吉川栄治氏と、エム・データの研究機関・ライフログ総合研究所所長の梅田仁氏に、それぞれお持ちの最新データを披露していただく。テレビデータ分析の”ネタ出し大会”だ。

その中でも注目なのが、「スポンサードバリューインデックス」と名付けられた新しい指標モデルだ。この記事の前半で述べた、”テレビとソーシャルメディアの関係性”についての新しい考え方を解説してもらう。

ポイントは「テレビ番組に熱中した人は、その中で出てきたCMにも関与しやすい」という観点だ。もっとわかりやすく言うと、「番組を好きになるとCMのブランドも好きになる」効果があるのではないかということ。

例えばこれは、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」についてツイートしたユーザーが、同番組にCM出稿している商品や企業について、視聴の前後でツイート数がどう変化したかを示した表だ。

これを見ると、あれだけ盛り上がった番組だけに、商品や企業について”態度変容”を引き起こした可能性が見えてくる。

もちろんこの数値をどう見るかはまだまだ議論が必要かもしれない。そのまんま受け止める前に、何らかの”処理”を施すべき点はいくつかあるだろう。

だが私はこの考え方に非常に刺激された。長らくテレビとツイッターの関係を見てきて、去年はそこにいよいよ連携性が明らかに出てきた一方で、広告効果でいうとCMはリーチを求められるものであり、ツイッターがいくら盛り上がっても広告効果には関係ないとしか思えなかったからだ。

だが確かに自分でも、ドラマを見ながらツイッターでつぶやく時、CMについて言葉にすることも多い。とくにリアルタイム視聴ではCMをスキップはしないわけだし、気に入っている番組ほどCMも集中して見ているのだ。言われてみると好きな番組ほどCMも貪欲に楽しもうとしており、印象にも残る。

エンゲージメントという言葉を使えば、番組へのエンゲージメントが強ければ自然と、広告へのエンゲージメントも高まるのだろう。そのことが、ツイッター分析から見えそうだ。

今回のイベントで発表することは、この方向性の研究の入り口をお見せすることに意義があるつもりだ。いきなり万全でマーケティングにそのまま使える指標になる、ということもないだろう。だが研究成果を今後進めていくスタート地点として、興味を持ってもらえればと思う。

イベントの会場は、角川グループの新しいイベントスペース「神楽座」。劇場型のスペースでとても立派な会場だ。ぜひ皆さん、申し込んでいただければと思う。

→3/17「TV meets Data〜この番組を見たらこのブランドが好きになった」申し込み用peatixページ