テレビとネットの横断業界誌 Media Border

2016年02月号

ネイティブ広告は、ネット広告20年の大転換の象徴だ~講談社・長崎亘宏氏に聞く、ネイティブ広告のほんとうの意味~

2016年02月08日 01:00 by sakaiosamu
2016年02月08日 01:00 by sakaiosamu

Media Borderは前々からテレビとネイティブ広告との関係について注目してきた。テレビ局のネット活用が進めば、テレビ局によるネイティブ広告もしくはそれに類似した取組みは増えてくるのではないか。

ネイティブ広告とは、ともすると「PRでしょ?」と単純に受けとめられかねない。実際、日本では新聞雑誌に記事広告の手法があり昔から行われてきた。テレビでも”生コマ”というスタイルは一種のネイティブ広告だったかもしれない。

ここでひとつ、知識として知っておきたいのが、ネイティブ広告の本来の定義だ。"媒体と一体化した広告形式”つまり媒体にとってネイティブな広告という意味なので、旧来型の記事広告だけではない。Facebokでは友達の投稿と同じ形式で広告が流れてくるが、あれも”一体化している”点でネイティブ広告のひとつの形式だ。あるいはWEBで記事を読み終わると、他の記事がいくつかの枠の形で推薦されてくることがある。あれもその中には広告に誘導するものがあり、”レコメンドウィジェット型”のネイティブ広告と分類される。また、これまでの記事広告がそのままネイティブ広告だと解釈すると少し違ってくるのだが、そこは長くなるので別の機会に置いておこう。

日本でネイティブ広告についてオフィシャルにガイドラインをまとめた、JIAA(日本インタラクティブ広告協会)のページが参考になるので紹介しておく。

→ネイティブ広告の定義と用語解説

いろんなバリエーションがあるネイティブ広告だが、やはり私が注目したいのはタイアップ型、コンテンツ型のものだ。言わば、番組と広告の融合。そこがこれから、様々に開拓できると考えているのだ。

12月号でとりあげた、M1グランプリのユニクロCMはそのモデルのひとつだ。

→番組のブランド力が広告の受け皿になる〜M1グランプリのユニクロCM〜


これは番組中のCM枠で放送された。だが左肩に「M1グランプリ×ユニクロ」とはっきり表示されており、コラボCMだとすぐわかる。M1グランプリと一体化しているわけで、ネイティブ広告のひとつの形式と言えるかもしれない。

「番組と広告をはっきり分ける」放送のルールからすると、CM枠で番組の続きのようなことをやっているので、セーフ。だが、番組の中でCMとおぼしきことをやるのはまずい。そういった点は言うまでもなく気をつけるべきポイントだ。

気をつけるべきなのは放送だからで、ネット上だとそれが少し”ゆるく”なるはずだ。

例えばこれは、テレビ東京の人気番組『Youは何しにニッポンへ?!』とのコラボレーションによるトヨタ・クラウンの広告だ。


番組としての面白さを損なうことなく保ったままで商品を訴求している。よくできたコンテンツになっているし、ネット上で放送を離れた形で成立している。これが番組中に突然入ってきたら問題かもしれないが、ネット上だから観る側も問題なく受けとめてくれるだろう。番組と切り離してネットで置くだけでルール上も受け止め方もちがうのは、当たり前だが不思議でもある。

ネットとの融合が進むと、テレビの世界でも今後この手法はもっと出てくるだろう。前向きな制作者ならスポンサーとの議論を面白がって、商品に向き合って面白いコンテンツにできるはずだ。 このネイティブ広告はどんな背景で出てきて、どんな課題があるのか。講談社のライツ・メディアビジネス局次長でありつつ、JIAA(日本インタラクティブ広告協会)のネイティブ広告部会の座長でもある長崎亘宏氏に話をうかがってみた。(ここから先は登録読者のみ)

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